メディカルコスメ代なんて安いもんさ

彼氏に振られたと、友達が泣きついてきた。それが三日前のこと。それなのに未だに彼女は、落ち込んでばかりで寝食も疎かにしているらしい。

どんどんやつれていく彼女を見て、これは何とかしなければと、自慢のメディカルコスメを手に家へ向かった。相変わらず元気の無い彼女が出迎えてくれる。

一刻も早くこの状態を脱したくて、すぐに本題へと入った。「あのね、これ最近使い始めたメディカルコスメって言うんだけど…」明らかに無理をしている笑顔で相槌を打ってくる。ああもう。

「これすっごくいいの。もう使ったその日から効果あるんじゃないかってぐらい。だから買い置きしてたやつあげる」「ありがとう。でもごめん、私今こういうものは…」

「今だからこそなの!このメディカルコスメで綺麗になって、あいつ見返してやろうよ!一緒に頑張るからさ、女磨いて素敵な男ゲットしようよ!私も今フリーだし」

もっと上手い方法があるだろ、と自分でも思うけど、分らないんだから仕方ないじゃない。少し考えた後、「そうだね」と笑って受け取ってくれた。

女の友情は最強、メディカルコスメ代なんて安いものだ。